三菱自動車は、同社独自の電気自動車に関する技術開発構想として、駆動系をコンパクトに収めることができる「インホイールモーター」(モーターを車両のホイール部に内蔵)と、エネルギー密度などの性能面で有利な「リチウムイオン電池」をコア技術として位置付け、これらの長所を生かした次世代型電気自動車の開発を推進することとした。なお同社では、この構想に関連する技術や車両などの総称を「MIEV(ミーブ、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle)」と名付け、ハイブリッド車や燃料電池車へ適用することも視野に入れて技術開発を進め、「環境の世紀」にふさわしいクルマづくりを目指す。
車両のホイール部にモーターを内蔵した、いわゆるインホイールモーターは、トランスミッションやドライブシャフトなどの複雑なメカニズムを介さずに、各駆動輪の駆動力・制動力をきめ細かく独立制御することが可能となるため、同社が『ランサーエボリューション』や『パジェロ』などで追求しているオールホイールコントロール技術の進展に大きく貢献できる可能性がある。また他の長所として、駆動部分がホイール内に収まることで、車両レイアウトの自由度が飛躍的に高まるため、ハイブリッド車や燃料電池車へ展開する際にも、大きな容積を必要とするバッテリー、燃料電池や水素タンクの搭載スペースを確保しやすくなるなどのメリットもある。
一方、同社が実用化に向けて長年取り組んでいるリチウムイオン電池は、他の二次電池と比較して、エネルギー密度や寿命といった性能面で有利であり、ハイブリッド車や燃料電池車を含む電気自動車の走行性能や航続距離の向上、軽量化に大きく貢献する。
三菱自動車は、この「MIEV」コンセプトに基づく研究車両の第1号車として、コンパクトカー『コルト』をベースに、2基のインホイールモーターを後輪に装着し、主電源としてリチウムイオン電池を搭載した『コルトEV』を製作し、インホイールモーターシステムの開発試験を既に始めている。さらに、4輪インホイールモーター駆動の実験車用に、より高出力の新型インホイールモーターを開発中である。なお『コルトEV』は、5月18日(水)〜20日(金)までパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2005」(主催:社団法人自動車技術会)に出展する予定である。
- 「MIEV」について
三菱自動車は、内燃機関の次を担う次世代車の選択肢の一つとして、早くから電気自動車の研究・開発を手がけているが、最近では高性能なリチウムイオン電池に注目して、これを搭載した実験車両『FTO EV』や『エクリプスEV』を製作し、24時間連続走行試験や公道走行試験を実施するなど、着実に実験・開発を進めてきた。
今回提唱した「MIEV(ミーブ、Mitsubishi In-wheel motor Electric Vehicle)」は、この同社が実用化に向けて長年取り組んでいるリチウムイオン電池に加えて、車両のホイール部にモーターを内蔵した、いわゆるインホイールモーターに新たな可能性を見出し、この2つの技術を核として、これらの長所を生かした次世代型電気自動車の開発を推進する構想である。電気自動車の更なる可能性を追求するとともに、これを基盤として、ハイブリッド車や燃料電池車へ展開することも視野に入れている。
| (1) |
インホイールモーター |
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I. |
オールホイールコントロール技術の進化 |
| インホイールモーターの長所として、複雑で重くスペースもとる駆動系(トランスミッション、ドライブシャフト、ディファレンシャルギヤなど)を必要とせずに、2輪駆動から4輪駆動へ発展させたり、また、各駆動輪の駆動力・制動力を、それぞれ独立で高度に制御することも可能となる。このため、同社が『ランサーエボリューション』や『パジェロ』などで追求しているオールホイールコントロール技術を大きく進展させる可能性がある。 |
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II. |
車両レイアウトの自由度拡大 |
| 駆動システムをコンパクトにホイール内部へ収めることで、車両レイアウトの自由度が飛躍的に高まる。このため、既存のエンジン搭載車を比較的スムーズにハイブリッド車へと発展させやすくなり、燃料電池車の場合には、大きな容積を必要とする燃料電池や水素タンクの搭載スペースを従来よりも確保しやすくなる。また、車体を新設計する場合には、斬新な外観デザイン、重量配分の最適化による高い運動性能、従来以上の広大な居住空間、ボディ骨格の最適化による高い衝突性能、などの可能性を広げることになる。 |
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| (2) |
リチウムイオン電池 |
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リチウムイオン電池は、他の二次電池と比較して、エネルギー密度や寿命といった性能面で 有利である。三菱自動車は、この高性能な電池に注目し、これを搭載した『三菱HEV』(1996年)、『FTO-EV』(1998年)、『エクリプスEV』(2000年)を製作。急速充電と全開走行を繰り返した24時間連続走行試験や、ナンバーを取得して公道上で走行試験を実施するなど、これらを通じて実用性能を確認してきた。
なお、リチウムイオン電池の性能は、ここ数年間で大きく向上しており、電気自動車のみならず、ハイブリッド車、燃料電池車の走行性能や航続距離の向上、軽量化など、今後の実用化に向けて大きな期待がもてる。 |
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| < 「MIEV」車両概念図 > |
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- コルトEV(インホイールモーター実験車) 概要
三菱自動車では、「MIEV」コンセプトに基づき、コンパクトカー『コルト』をベースに、エンジン、燃料タンク、トランスミッションなどを取り外して、代わりに独自開発の2基のインホイールモーターを後輪に搭載し、主電源としてリチウムイオン電池を搭載した実験車を製作した。
現在、テストコース上での走行実験を実施しており、今後の計画としては、リヤの駆動輪の駆動力・制動力を左右で独立して制御し、運動性能の向上を目指す試験や、ナンバーを取得して公道上で走行試験を実施するなど、様々なテストの実施を検討している。この『コルトEV』の走行実験を通して、各駆動輪の独立制御システムの研究・開発のほかに、バネ下重量増加による接地性・乗り心地の悪化、インホイールモーターシステムやその周辺部(サスペンション、ホイール、タイヤなど)の信頼性・耐久性など、インホイールモーター搭載車の課題の明確化とその克服に向けて取り組んでいく。
また、モーターやバッテリー自体についても、更なる高性能化や軽量・小型化を目指して研究開発を進めている。現在、4輪全てがインホイールモーターで駆動し、将来的には4輪独立制御システムも導入する予定の高性能実験車へ搭載するため、最大出力50kWの新型のインホイールモーターを開発中である。
| < コルトEV 車両レイアウト図 > |
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| < コルトEV 主要諸元 > |
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ベース車:『コルト』 Sport-X (1.5L、4WD) |
| 全長 |
3885mm |
| 全幅 |
1680mm |
| 全高 |
1550mm |
| 空車重量 |
1150kg |
| 乗員 |
5人 |
| 最高速度 |
150km/h |
| 一充電走行距離(10・15モード) |
150km |
モーター (減速機内蔵式) |
種類 |
永久磁石式同期モーター |
| 最大出力 |
20kW |
| 最大トルク |
600N・m |
| 最高回転数 |
1500rpm |
| 寸法 |
直径310mm×220mm |
| 搭載数 |
2基 |
| 電池 |
種類 |
リチウムイオン |
| 容量 |
40Ah |
| 電圧 |
14.8V |
| 寸法 |
194mm×175mm×116mm |
| 搭載数 |
22個 |
| 制御装置 |
インバーター制御 |
| 駆動方式 |
後輪駆動 |
| タイヤ |
185/55R15 |
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