三菱自動車と同社のモータースポーツ統括会社MMSP GmbHは、11月18日(火) [現地時間11月17日(月) 17:00]にパリで、三菱自動車の「テレフォニカ・ダカールラリー2004(通称:パリダカ)」参戦体制について記者説明会を実施し、『パジェロエボリューション(2004年ダカールラリー参戦車)』の概要を発表した。
『パジェロエボリューション』は三菱自動車の20年以上に渡るパリダカ参戦で培われたノウハウと最新技術を組み合わせ、2002年シーズンからFIAにより設定された「スーパープロダクションカー」のレギュレーションに基づいて開発されたクロスカントリーラリーカー最先端の姿である。
『パジェロエボリューション(2004年ダカールラリー参戦車)』は2003年の同ラリーに参戦、三菱自動車の3年連続総合優勝を達成した『パジェロエボリューション(2003年ダカールラリー参戦車)』をベースに、細部に渡り、大規模な改良を施した新型車で、7月にモロッコでテスト走行を実施、その後もパリダカ前哨戦となる「UAEデザートチャレンジ2003」へテスト参戦、ステファン・ペテランセル(フランス)が総合優勝するなど、パリダカ4連覇に向け、確実な進歩を遂げている。
2004年のパリダカは、2002年〜2003年にパリダカで2年連続総合優勝し、自身の3連覇を狙う増岡浩(43才)、パリダカ2輪部門で6回総合優勝しているステファン・ペテランセル(38才、フランス)と1988年〜1989年に世界ラリー選手権(WRC)で2年連続ドライバーズタイトルを獲得したミキ・ビアシオン(45才、イタリア)の3名が『パジェロエボリューション』で参戦する。また女性ドライバーのアンドレア・マイヤー(35才、ドイツ)が『パジェロ(T2/従来型)』で参戦する。
1.『パジェロエボリューション(2004年ダカールラリー参戦車)』の主な変更点
(1)新開発V6 4.0リットルエンジン
エンジンは、従来のV6 3.5リットルエンジンから、岡崎の三菱自動車モータースポーツチームが新開発したV6 4.0Lエンジンに変更した。組み合わせるトランスミッションは従来同様6速シーケンシャルギアボックスである。
既に同エンジンを搭載した『パジェロエボリューション』を駆るペテランセルが「UAEデザートチャレンジ2003」で総合優勝、三菱ラリーアートポルトガルから参戦したカルロス・スーザ(スペイン)の『L200ストラーダ』にも搭載し、スーザの2003年のFIAクロスカントリーラリーワールドカップ年間チャンピオン決定に貢献するなど、その優れた性能を実証した。
MMSPのクロスカントリーラリー担当テクニカルディレクターのティエリー・ヴィアルドは「このエンジンは岡崎のモータースポーツチームが、北米市場向けのパジェロ(北米名:モンテロ)に搭載しているV6 3.8リットルエンジンをベースに開発したものだ。」と誇らしげに語った。
(2)アンチロールバーシステム
モロッコテスト、「UAEデザートチャレンジ」で成果の確認できた新技術に油圧アンチロールバーシステムがある。MMSPでは、ヴィアルドの指揮のもと、クロスカントリーラリー担当オペレーションエンジニアとして、英国ラグビーのWRC開発拠点から異動したベルナルド・リンダウアー、チーフエンジニアのマックス・フェルター、エンジニアのマシュー・パレントが同システムの開発に従事し、岡崎モータースポーツチームもそれを強力にサポートした。
「『パジェロエボリューション』のアンチロールバーシステムは、FIA世界ラリー選手権(WRC)でシトロエンが採用したものに近い。コーナリング時の安定性を高め、ワールドラリーカー並に的確なハンドリングを実現する。曲がりくねったスペシャルステージや細いコース、それに伝統的なプロローグステージでも極めて有効だろう。またバンピーなコースや、砂漠の起伏から生じるサンドホールでもドライバーにとっては強みになる筈だ。」とヴィアルドは語った。
尚、オペレーションエンジニアのリンダウアーは、2003年の「チュニジアラリー」終了後、ポンドボーにあるMMSPのクロスカントリーラリー開発拠点に加わり、WRC車両開発で培った経験を活かしてサスペンションなどのサプライヤーとの協力関係強化や、チームのクオリティコントロールシステム確立にも大きく貢献した。
(3)多岐に渡る細部の変更
ヴィアルドは「モロッコ以降、ラジエーターの形状・サイズの変更、エアダクトと配管類のレイアウト変更などクオリティの向上を図った。フロントグリルはメッシュタイプに変更し、優れた空気流動性を確保するとともに冷却性能を向上させた。」と語った。
また「スプリングレートやダンパー冷却性の向上なども改良した。ドライブシャフトなどのコンポーネントも小規模ながら数多く変更した。我々が来春ダカールで使うものは、全てドバイ(UAEデザートチャンレジ)で試したものでもあり、既にコンポーネントの不具合対策や熱対策などを進めるなど信頼性も大幅に向上している。」とヴィアルドは力強く語った。
(4)安全性の向上
MMSPは、全てのワークス車両にブレンボ製ブレーキシステムの採用を決定した。ブレンボとの契約はパリダカ参戦車のみならず、04年のWRC活動にも引き継がれる。なお、『パジェロエボリューション』では、ブレーキディスク(ローター)を若干ながら大径化し剛性と耐フェード性を向上させた。
室内については、ロールケージのウィンドウとルーフ部位を中心に補強、また新開発のフォーム・サポート・シート・マウント・ブラケットを採用するなど安全性を向上した。ヴィアルドは「ゴム製の新しいシートブラケットを用意した。まだプロトタイプの段階で、直接FIAに持ち込み、使用許可をもらった。このブラケットによりクラッシュした際、頚部のケガが軽減されるだろう。」と『パジェロエボリューション』の安全性を強調した。
2.『パジェロエボリューション(2004ダカールラリー参戦車)主要諸元
| 全長 |
|
4445mm |
| 全幅 |
|
1978mm |
| ホイールベース |
|
2725mm |
| トレッド |
(前/後) |
1750mm/1736mm |
| 車両重量 |
|
1825kg |
| エンジン |
|
V6 DOHC24バルブECIマルチガソリン
吸気制限装置(リストリクター)、ウェットサンプ式オイルシステム |
| 総排気量 |
|
3.997 L |
| 最大出力 |
|
270 PS / 5500rpm |
| 燃料供給装置 |
|
ECIマルチ |
| タンク容量 |
|
500 L |
| 主変速機形式 |
|
リカルド社製 シーケンシャル6速マニュアルトランスミッション |
| 駆動方式 |
|
フルタイム4WD 機械式センターデフロック |
| デフ |
|
Xトラック社製 差動制限装置付き |
| サスペンション形式 |
|
独立懸架/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング |
| ショックアブソーバ |
|
ドネア製 各輪2個装備 |
| ホイールストローク |
|
250mm |
| ステアリング形式 |
|
ラック&ピニオン(パワーステアリング) |
| ブレーキ形式 |
|
ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製キャリパー&ローター) |
| ホイールサイズ |
|
7×16(テクノマグネシオ製) |
| タイヤサイズ |
|
235/85-16(BF Goodrich製) |
| その他特長 |
|
スチール製マルチチューブラーフレーム
ハニカム材フロア
カーボンボディー |
3.『パジェロT2(2004ダカールラリー参戦車)』主要諸元
| 全長 |
|
4110mm |
| 全幅 |
|
1955mm |
| ホイールベース |
|
2545mm |
| トレッド |
(前/後) |
1700mm/1700mm |
| 車両重量 |
|
1750kg |
| エンジン |
|
V6 DOHC24バルブECIマルチガソリン
吸気制限装置(リストリクター)、ウェットサンプ式オイルシステム |
| 総排気量 |
|
3.497 L |
| 最大出力 |
|
270 PS /6000rpm |
| 燃料供給装置 |
|
ECIマルチ |
| タンク容量 |
|
500 L |
| 主変速機形式 |
|
6速マニュアルトランスミッション |
| 駆動方式 |
|
フルタイム4WD 機械式センターデフロック |
| デフ |
|
差動制限装置付き |
| サスペンション形式 |
|
独立懸架/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング |
| ショックアブソバー |
|
ドネア製 |
| ホイールストローク |
(前/後) |
250mm/250mm |
| ステアリング形式 |
|
ラック&ピニオン(パワーステアリング) |
| ブレーキ形式 |
|
ベンチレーテッドディスク(ブレンボ製キャリパー&ローター) |
| ホイールサイズ |
|
7×16(テクノマグネシオ製) |
| タイヤサイズ |
|
235/85-16(BF Goodrich製) |
| その他特長 |
|
スチール製マルチチューブラーフレーム付きモノコックボディ
ハニカム材フロア
一部カーボンボディー |
4.2004年ダカールラリードライバー/コ・ドライバー
| チーム1: |
『パジェロエボリューション』 |
| |
ドライバー: |
増岡浩 (Hiroshi Masuoka) |
| |
コ・ドライバー: |
ジル・ピカール (Gilles Picard) |
| チーム2: |
『パジェロエボリューション』 |
| |
ドライバー: |
ステファン・ペテランセル(Stephan Peterhansel) |
| |
コ・ドライバー: |
ジャン-ポール・コトレ |
| チーム3: |
『パジェロエボリューション』 |
| |
ドライバー: |
ミキ・ビアシオン (Miki Biasion) |
| |
コ・ドライバー: |
ティツィアーノ・シヴィエーロ (Tiziano Siviero) |
| チーム4: |
『パジェロ(T2/従来型)』 |
| |
ドライバー: |
アンドレア・マイヤー (Andrea Mayer) |
| |
コ・ドライバー: |
アンドレアス・シュルツ (Andreas Schulz) |
2004年ダカールラリー/FIAワールドカップクロスカントリラリー カレンダー
| ダカールラリー* |
1月1日(木)〜18日(日) |
| バハ・イタリア |
3月11日(木)〜14日(日) |
| チュニジアラリー |
4月3日(土)〜12日(月) |
| バハ・ポルトガル |
5月6日(木)〜9日(日) |
| モロッコラリー |
6月1日(火)〜6日(日) |
| バハ・スペイン |
7月15日(木)〜18日(日) |
| オリエントラリー |
8月7日(土)〜15日(日) |
| ポー・ラス・パンパスラリー |
9月15日(水)〜21日(火) |
| UAE デザートチャレンジ |
10月11日(月)〜15日(金) |
| |
| * 2004 ダカールラリーはFIA ワールドカップクロスカントリーラリーには含まれない |
以上